誰でもが知っているプラスチック問題、数回に分けて解説を行なっていきます。
*参考文献 「プラスチックの現実と未来へのアイデア」
高田秀重監修 東京農工大学農学部環境資源科学科教授
「プラスチックの現実と未来へのアイデア」から抜粋した写真ですが、どうですか?
目を背けたくなりますよね。しかしこれが現実です。しかも将来ますます悪化していくわけですから、我々が取り組まなければならない課題は山積みです。
同じ資料からの抜粋ですが、ぱっと見て「外国って酷い!」と思われた方、右下の写真を見てください。
荒川の河口で撮った写真で、対岸にはスカイツリーも見えています。日本でも似たり寄ったりの現状なのです。
レジ袋・・・
今多くの方が取り組まれているのは「レジ袋削減」ですよね。
正直言えば、「なぜ10年でも20年でも前から取り組まなかったのか?」と不思議でなりません。プラごみ問題は今より40年も前から問題視されていたのですから。
しかも、国内で生産されるレジ袋は年約20万トンであり、国内のプラごみ量900万トンの僅か2%にしかすぎません。
それでも有料化により80%のレジ袋が減ると言われていますから、誰もがエコバックを持ち歩く習慣は大切と言えますね。
ペットボトル・・・
ではペットボトルについてはどうでしょうか。
使用済みペットボトル年間約50万トン、これは国内のプラごみの5.5%に当たります。
ペットボトルは年236億本が消費され、回収率は2018年で92.2%です。
と言うことは7.8%が未回収ということになりますよね。本数に換算すると、なんと約18億本ものペットボトルが未回収となるわけです。
仮にですが、その内の僅か1%としても1800万本ものペットボトルが海へ流出していることになります。
これは日本だけの統計です。世界中を合計すると、どれだけのペットボトルが海へ流れてしまっているのでしょうか?
私はこの話を知った時、これだけ環境問題に関わっているにも関わらず、鳥肌が立ったことを覚えています。
弊社の取り組み・・・
弊社では昨年から、ペットボトルの使用料を減らすため、社内に設置されていた自動販売機を撤去し、新たに水素水サーバーを設置しました。
例えば私が社内にいるとしたならば、ミネラル水のペットボトルを1日に2本飲用します。月間で約40本前後かと思います。
それを水素水サーバーに切り替えたことで、社内では使用量ゼロ(私についてです、社内ではまだペットボトルを使用するものがおります、残念ながら)にできたのです。
皆さんの中でも東京であれば「夢の島」と言われているゴミ集積場があり、そこへトラックから運ばれてきた不燃ゴミが投棄されているのを見たことがあるでしょう。
我々は、プラスチックゴミをしっかりと“回収”に出せば、また「リサイクルして使われる」と思っていますが、多くはそのまま投棄されるか細かく砕かれて地中に埋めたりされています。
地中に埋められたプラスチックゴミ(殆どのプラスチックゴミは水よりも軽い)は、いつの日か豪雨災害などの雨により、海へ流出してしまいます。
元々、地中に埋めたからといって、分解されるのに驚くべき年数がかかってしまうのです。
1950年以降、生産されたプラスチックは83億トンと言われ、そのうちの63億トンがゴミとして廃棄されたという推計があります。つまり回収されているのは僅か24%にしかならないのです。
さらに2016年のダボス会議(世界経済フォーラム)では、今後20年で生産量は2倍に増え、
“2050年には海洋中のプラスチック量が、海洋に棲む全ての魚の量以上に増加されている”
と予想されると議題に上がり、大きな衝撃を与えました。
想像してください。
鯨が泳ぐ横に、鯨より大きな(総量が同じでも体積はプラスチックの方が大きい)プラスチックゴミが浮遊しているとしたら。
フィリピンに打ち上げられた鯨のお腹の中から大量のプラスチックゴミが・・・
岩穴に隠れているタコの横の穴は、プラスチックゴミで埋め尽くされているとしたら。
これは目に見えるプラスチックゴミですが、目に見えないマイクロプラスチック(直径5ミリ以下)は、より細分化され魚貝類に取り込まれ、そしてそれが我々の食卓に上がってきます。それを食べた我々の体内に取り込まれ、体に害をもたらすのは必然とも言えます。
日本のプラスチック製品の国内消費量は1,021トン、廃プラスチック容器包装廃棄量は903万トン(2017年)、これを人口一人当たりに換算すると35kGで、米国に次いで第二位となっています。
日本はモラルが高い・・・
恐ろしい、いやおぞましい集計数字ですよね。
それでもこれを読んで、「流石に日本人はモラルがある」と思われた方もいるのでは無いでしょうか?
しかし、日本は中国などへ廃プラごみを輸出しているだけなんです。自分の家で出たゴミを、隣のゴミ箱に捨てているだけ、みたいなものです。
その量は、16年153万トン 17年143万トン 18年101万トン
しかし、中国が18年から輸入を禁止。東南アジアも廃プラの受け入れをストップし始めました。
「バーゼル条約」は、まさに有害廃棄物の輸出入を規制するもので、改正されより強固になったことで、国内の廃プラが処理出来ずに溜まり続けているのです。
そして意外にもプラごみはリユースやリサイクルができない場合が多く、例えば食品パックなどのプラごみは汚れが取れていないと、焼却か細分化して地中に埋めるしかなくなります。
しかし、燃やしてしまうと地球温暖化問題と逆行してしまうため、処理に困り、先に説明したように外国へ捨てに行っていたのが今までだったです。さて、国土の狭い日本は今後、プラごみの処理問題をどう解決していくのでしょうか?