いまだに燃え広がる火災は森林だけではなく、住宅地まで飲み込み始めています。
Part1でも書きましたが、既に5億匹とも10億匹とも言われている、物凄い数の動物が焼死しています。
そして昆虫類も含むと、その数なんと「3兆匹!」にも及ぶとの恐ろしい数字も発表されています。
火に囲まれて混乱したのか、さらに火の中へ進んでいくコアラ
ドハーティさんは火に塗れてしまったコアラを、なんとか救おうと自分の服を脱ぎ、コアラを包んで助け出しました。
火傷で血塗れになったコアラを救急隊に渡します。
助けられた14歳コアラは「ルイス」と名付けられました。今はポート・マッコリー・コアラ病院で治療を受けていますが、生存の確率は50%とのことです。
*写真のコアラは他で助けられたコアラです。
オーストラリアの昨年の平均気温は観測史上最高を記録し、降水量も1900年以降で最も少なく、最悪の干魃状態となっています。
実は、2019年の平均気温が高いのは世界的な傾向なのです。気象庁も令和元年の日本の年間平均気温が、全国的にかなり高かったと発表したばかりです。
雪不足で困っているニュースが毎日のように放送されていますよね。
欧州連合(EU)が運営しているコペルニクス気候変動サービスは1月8日、2019年の世界の平均気温が観測史上2番目の高さだったと発表しました。
*過去の上位5位の高温記録が、すべてこの5年間に出ているのです!
唯一の解決策
オーストラリアのほかの地域でも、自然保護団体が野焼きで成功を収めています。例えば、NPO団体「Bush Heritage Australia」は、炎を管理できる気温の低い時期に野焼きを実施することで、火災の燃料となる植物などの可燃物量を管理しています。
この戦略がどれほどうまく機能しているのか判断するには時期尚早でしょう。だが、同団体の土地にはこれまで何度も落雷があったものの、大きな森林火災は起きていません。
「落雷の発火から手に負えない火災が発生していない事実は、野焼きによる準備のおかげです。大変な作業のたまものだと思います」
と、同団体で科学および自然保護の責任者を務めるレベッカ・スピンドラーは言います。
「生態学者として、将来は気候学者の予測通りになると理解するだけでなく、この地域に残された退避地をしっかり保護する手段を考え出す必要があります」と、オーストラリアのラ・トローブ大学の生態学者マイケル・クラーク博士。
このためオーストラリアでは重要な生息地の周辺で野焼きが実施され、山火事の接近を食い止める一種の安全地帯をつくる可能性があります。
「生態学者として干渉主義になることには納得がいかないのですが、この方法以外どうしていいのか分かりません」とクラーク博士。
「何もせずに『残念ですが絶滅しました。将来、天然資源は一切ありません』と言えますか? わたしには受け入れられません」
同博士の言葉は我々の胸を打ちます。
野焼きはひとつの手段ですが、万能薬ではありません。「炎が地域を焼き尽くす能力は、天候が極端になるほど可燃物量に依存しなくなります」とディーキン大学のドリスコルは語ります。
「すなわち、非常に気温が高く、とても乾燥していて強風が吹いている場合、その土地を焼き尽くすためにほとんど可燃物を必要としないのです」
アマゾン火災の写真
アマゾンの火災のように、
野焼き(焼畑)をした結果、コントロールできなくなり、九州より広い面積が焼け落ちたのも教訓としなければなりません。
この状態の悪化を食い止める唯一の解決策は、気候変動を止めることしかありません。
参照資料 Newsweek Yahoonews Wired